働いている女性にとって妊娠が判明することは嬉しい気持ちがある反面、「仕事は辞めないといけないのかな」「仕事は復帰できるかな」「育休はどれくらい取れるのかしら」など、仕事と育児の両立について不安を感じる方もいますよね。
女性は、子どもができると多少なりともライフスタイルに変化が生じるため、今までどおりの仕事を続けていくかを悩んでしまうこともあるでしょう。
また、出産を機会に転職を考える人もいます。
今回は、出産前に知っておくべき休暇や復帰、働き方、転職などを詳しく解説します。産後の働き方について知りたい人は、最後までご覧ください。
妊娠・出産に関わる休暇について
産休と聞くと、出産後に取得する休暇というイメージですが、労働基準法第65条では、働く女性の母体を保護するために出産前の産前休暇と出産後の産後休暇が認められています。
では、それぞれの基準はどのようなものでしょうか。
産前休暇
出産前に取得できる産前休暇は、事業主に申請して取得する休暇です。
この産前休暇は、原則として出産予定日の6週間前(42日間の休暇)、双子以上の場合は14週間前(98日間の休暇)から取得可能ですが、女性から申告する休暇なので、出産直前まで働くこともできます。
また、出産日が予定よりも早まった場合は、短くなってしまう産前休暇ですが、逆に予定日よりも遅くなった場合でも出産日までは産前休暇として扱われます。
産後休暇
出産翌日から取得できる産後休暇は、申告制ではなく就業が禁止されている休暇で、原則として8週間の休暇となります。
しかし、産後6週間が経ち、ママが復職を希望して医師の許可が得られれば8週間を待たなくても仕事をすることは可能です。
また、産後休暇は、出産の翌日からカウントされるので、予定日よりも遅れた場合でも最大8週間の休暇を所得することができます。
育児休暇
1995年に改正された育児介護休業法は、働いている人が育児や家族の介護をする場合に、仕事と家庭生活の両立を支援するものです。
育休ともいわれている育児休暇は、「子どもが1歳になるまで(延長可)」や「申告制」「同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている」などのルールはありますが、ママだけでなくパパも取得できます。
また、希望すれば、産後休暇取得後にそのまま継続して育児休暇を取ることができます。
育児休暇は、共働き世帯や保育園には入れなかったなどの事情により延長することも可能なので、条件を確認しておくと良いでしょう。
産休を申請するために
会社としても、妊娠している女性に安心して仕事をしてもらうため、さまざまな配慮をする必要があります。
報告
そのため、妊娠がわかったら早めに報告するようにしましょう。
また、上司に報告する前に、就業規則を確認しておくことも大切です。
その上で、仕事内容や妊婦に必要な検査を受ける時間の確保、妊娠の状態によって時差出勤をする場合の対応などを話し合っておくと妊娠中の不安も解消されます。
出産後も仕事を続けたいのであれば、その旨を伝えることも忘れてはいけません。
申請
会社に妊娠を報告したら、出産予定日をもとに産休の申請を行います。会社によっては、書式が用意されていることもあるので確認してみましょう。
育児休暇の場合は、原則として育休開始1ヶ月前(出産が早まった場合は、育休開始の1週間前)までに「育児休業申出書」の提出が必要となります。
産休が終わった!復帰はいつがベスト?
厚生労働省の「平成27年度雇用均等等基本調査の結果概要」によれば、育休後に仕事復帰を予定していたママの90%以上が実際に職場復帰を果たしています。
参考)厚生労働省「「平成 27 年度雇用均等基本調査」の結果概要」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-27-07.pdfこのことからもわかるように、ほとんどのママが育休後に仕事復帰を果たしていますが、復帰のタイミングはいつがベストなのでしょうか。
子どもの預け先が確保できたら
保育園や祖父母など、子どもの預け先が確保できた段階で復帰を決めたママが多いようです。
祖父母などの家族に預ける場合は、スケジュールを話し合ってから職場復帰を決めると良いでしょう。
パパと相談して決める
ママが仕事復帰をするためには、パパの協力がとても大切になります。
パパと話し合って、保育園の送迎や家事の分担などが決まってから仕事復帰をすると、仕事と家庭の両立がスムーズに行えるでしょう。
会社と相談して決める
保育園がスタートする4月を職場復帰のタイミングとしているママも多くいますが、会社によっては、人事異動などの時期と重なることもあります。
そのため、4月以前に職場復帰を決めたママもいるようです。仕事の内容を考えて出産前に復帰の希望時期を伝えておくのも良い方法かもしれません。
ママたちの理想的な職場復帰は?
出産後の職場復帰については、「自分の体調が整ってから」「子どもの成長を見守りたい」など少し消極的な意見もある一方、「一人になれる時間を確保したい」「社会とのつながりが欲しい」と早めの職場復帰を決めたママもいます。
しかし、いずれのママも子どもができてから働き方に対する意識が少し変わってきたようで「リモートワークやフレックス制を取り入れながら職場復帰したい」「週2~3日程度の勤務から始めたい」など本格的な復帰前のプレ復帰ともいえる緩い職場復帰を希望しているママも増えています。
これは、子育てをしていく上で、産後はそれぞれの状況に合った職場復帰を望んでいるママが多いということでしょう。
産後の転職で注意すべきことは?
出産を機に離職し、産後は別の会社に勤務することを希望するママもいます。
それでは、産後の転職ではどのようなことに注意したら良いのでしょうか。
子育て中に転職するときのアピールポイント
会社としては、「子どもが小さいと会社を休みがちになるのでは」「仕事が続かないのでは」「残業を頼めない」などの状況を考えて子育て中の女性の採用を見送ってしまうこともあります。
しかし、実際は、子育てを頑張っているママを多く採用したことで、働き方が変わり成功を収めた企業も多く存在することも事実です。
子育て中のママも、子どもがいることをマイナスと捉えず、「子どもがいるからこそ、しっかりと働きたい」とアピールすることが大切。
例えば、子育てをしているからこそ、時間内にパフォーマンスを向上させるための工夫や効率性などを伝えれば、大きなアピールポイントとなるでしょう。
また、保育園の状況や子育てのサポート体制なども具体的に話せば、会社の理解も得やすくなります。
優先順位をつける
子育てをしながら理想の職場を探す場合は、自分の優先順位をしっかり考えることが大切です。
例えば、今までと同じように、仕事内容やキャリアを重視してそれなりの収入を求めているのであれば、フルタイム勤務や残業も行う必要があります。
この場合は、パパや家族、周囲の理解やサポートだけでなく、ベビーシッターなどの外部に育児を依頼する必要性も考えなければなりません。
また、子どもと過ごす時間が少なくなってしまうこともあるでしょう。自分のやりたい仕事があるのなら、優先順位は仕事になります。
逆に子どもや家族を優先しながら働きたい場合は、時短勤務、勤務地、育児サポートなどの勤務条件を優先順位にして考えると良いでしょう。
優先順位がはっきりすれば、どんな仕事を探すかが見えてきます。
スキルを上げる
子育て中だからこそ身に付いたスキルがあれば、それをアピールポイントにすることができます。
子どもがいると、自然にするべきことの優先順位をつけて、短い時間で効率を上げる方法を考えるようになりますが、これが仕事をする上ではとても大切なことになります。
また、転職先に自分のキャリアを活かせる職種を選ぶと、経験や実績をアピールしやすくなるので、有利です。
さらに、妊娠中から出産まで時間が空いてしまうので、資格の取得や勉強などのスキルアップと情報収集をしておくと良いでしょう。
まとめ
妊娠中、出産、子育てと子どもができると、女性の体も大きな変化が起こり、今までのように仕事をすることが困難な場面もあります。
そのため、産前・産後、育児休暇などの休暇をしっかり取得して体をいたわってあげることが大切です。
お休み中は、産後院や産後ケア施設も上手に利用して心身ともにリフレッシュすれば、子育てや仕事復帰に向けて頑張る英気が養えるでしょう。
子どもが中心になるライフスタイルは、考えていたよりも大変なことですが、子どもとママにとって後悔しない働き方ができると良いですね。