産後ケアコラム
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ママと赤ちゃんのための産後ケアコラム

2022/01/19

[コラム]

夫婦の関係性に影響する?産後クライシスとはどういうもの?

「出産する前は夫と仲が良かったのに、子どもを産んでから夫に対するイライラが止まらなくて…」と悩んでいる人は多いのではないでしょうか?

半年ほどで夫への愛情が戻る人もいれば、数年たってもまだ愛情が冷えきったままという人もいることでしょう。それはもしかしたら産後クライシスの影響かもしれません。

そこで今回は産後クライシスとはどういうものか、主な症状や原因、夫婦関係を良好に保つコツなどについてお伝えします!

産後クライシスとは

「産後クライシス」とは2012年にNHKの情報番組内で提唱された言葉で、その後、日本での深刻な社会問題として注目を集めるようになりました。

産後クライシスは、出産後、数年間で急激に夫婦の仲が悪くなることを指しており、一時的な現象で解決する場合もあれば、関係が修復できず離婚に至ってしまうケースもあると言われています。

民間企業が行ったアンケート調査によると、6割以上のママが産後クライシスを経験していることがわかっています。また、そのうちの9割が産後半年以内に、夫に対して愛情の冷え込みを感じたことがあると回答しました。

参考)「産後クライシスに関する調査」(カラダノート調べ)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000056.000031718.html


では、産後クライシスに見られる症状とは一体どのようなものなのでしょうか。

産後クライシスに見られる代表的な症状

産後クライシスに陥っている夫婦には、次のような症状が見られることがあります。

夫の言動や行動に対してイライラする

夫の何気ない一言やちょっとした行動にイライラしやすくなることがあります。

靴下の脱ぎっぱなしや食事の後に食器を片づけないなど、出産前には気にならなったことが急に許せなくなってしまうこともあるでしょう。

夫が家事や育児に非協力的で不平等さを感じる

妻が育児で大変なのにも関わらず、夫は出産前と同じで仕事の帰りも遅く、飲み会も多いなど……。

夫が家事や育児に非協力的だと不満は大きくなることが考えられます。子育てよりも仕事や自分の趣味を優先している姿に不平等さを感じてしまうのでしょう。

感情コントロールができなくなる

イライラしたり不安になったり悲しくなったりと、感情コントロールができなくなるなどの症状が起こることがあります。

特に産後は睡眠不足や育児不安が強く、ストレスを抱えやすい時期でもあります。出産に伴う、急激なホルモンバランスの変化も関係していると言えるでしょう。

パートナーに対して愛情を感じなくなる

妻が夫に対して愛情を感じられなくなることに、夫の言動や子育てに協力的でないことが関係しています。「母親が育児をするのは当たり前」といった言動や態度、自分優先の行動に愛情が冷めてしまうことがあるのでしょう。

また、夫側としては「妻が自分の相手をしてくれなくなった」「ないがしろにされている」といった感情が生まれ気持ちが離れていくことが考えられます。

産後クライシスが起こる原因とは

産後クライシスの代表的な症状を見てきましたが、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。人それぞれ原因は違うものの、考えられる要因がいくつかあります。

ここでは、産後クライシスが起こる原因について、考えられることをお伝えします。

急激なホルモンバランスの変化

女性は妊娠から出産にかけてホルモンバランスが激しく変化します。妊娠中にはエストロゲンというホルモンが多く分泌されますが、出産後はエストロゲンが急激に減り、代わりにオキシトシンが増加します。

オキシトシンは、授乳をはじめわが子と触れ合うことで多く分泌され、愛情を強める働きを持っています。しかし、同時に他者への攻撃性を強めてしまう作用があるのです。

特に、育児に協力的でない夫は、攻撃の対象となりやすく、イライラの原因になってしまうのでしょう。

子ども優先の環境変化

子どもの誕生に伴い、生活環境は劇的に変化します。特にママは、自分のことは後回しで子どもを優先せざるを得ない状況になることも多いでしょう。

自分の時間が持てず、行動も制限され、夜も十分に睡眠が取れないことで心も体も疲弊し、ストレスはたまっていくばかりです。

しかし、そんな中で夫が自由に飲みに行ったり、仕事に行ったりとこれまでと変わらない生活を送っている姿を見て、ますますストレスを感じ、イライラがつのってしまうと言えるでしょう。

夫が子育てや家事に協力的でない

夫が子育てや家事に協力的でなければ、ますます不満は高まります。非協力的な夫に対して愛情が冷め、オキシトシンの作用も相まって攻撃的な態度に出てしまうことが考えられます。

夫に不満を伝えることで、妻の心情を理解し関係が改善されることもありますが、反対に夫婦げんかを招いてしまうこともあるでしょう。

産後クライシスかどう判断する?

産後クライシスは、よく耳にする「マタニティーブルー」や「産後うつ」とは違うものです。マタニティーブルーは気分が落ち込むなどの症状がありますが、一過性のものが多いとされています。

また、産後うつは子育てへの不安やストレスからくる不眠や食欲不振、強い罪悪感を覚えるなどの症状が起こる病気のことを指しています。症状が悪化すると自分の命を絶つことまで考えてしまうため、医師や専門家の診断が必要です。

産後クライシスは、産後に起こる心身の変化や育児の疲れなどで夫婦関係が悪化することを指しており、病気ではありません。

産後クライシスかどうかを判断するには、今、自分のメンタルがどのような状態なのかを確認しましょう。

自分の症状をチェックしてみよう

ここまでお伝えした産後クライシスに見られる症状や、原因に思い当たる節がある人は産後クライシスに陥っている可能性があります。

パートナーの顔を見るだけで嫌気が差したり、ちょっとした出来事でイライラしたりする場合には注意が必要です。

現在、産後クライシスで悩んでいる夫婦は、専門家やカウンセラーに相談しに行くのも良いでしょう。

夫婦だけで話し合うよりも専門家など第三者に入ってもらうことで、冷静に話し合うことができます。また、夫婦それぞれの特性や考え方から分析してもらい、適したアドバイスや乗り越え方を聞くことができるでしょう。

産後クライシスになる夫婦のほとんどは、妻から夫に対しての不満から始まることが多いものです。

しかし、産後まもなくは妻だけに限らず夫も慣れない育児や環境に不安を抱えていることが、近年の研究で明らかになっています。

出産直後の過ごし方が大事

お互いが精神的に不安定なる産後に、どれだけサポートし合えるかでその後の夫婦関係が変わってくるとも言えるでしょう。

もし、夫の仕事状況などで家事育児の分担が難しい場合には、産後ケア施設を利用することも選択肢に入れることをおすすめします。

産後すぐの大変な時期を周りのサポートに頼って過ごすことで、家事や育児の負担も減り、夫婦共に多少のゆとりも生まれるのではないでしょうか。

産後クライシスは、「妻がひとりで育児をした」という実感が強ければ強いほど、期間が長引く可能性があります。

産後2~3年たっても夫婦関係が改善されないことも多いため、産後の厳しい状況をどう過ごすかで産後クライシスの予防につながることでしょう。

夫婦の関係性を良好に保つためには

夫婦の関係性を良好に保つためには、出産直後の過ごし方が非常に重要です。産後ケア施設を利用するなど、妻がゆっくり休めるような環境を整えてあげましょう。

また、夫婦がお互いに理解し合うことも大切です。夫は女性がホルモンバランスの急激な変化によってメンタルが不安定になったり、オキシトシンの分泌で愛情が増すだけでなく攻撃性を強めたりすることもあると覚えておきましょう。

加えて、子育ての不安は夫にもあることを妻が認識しておくのも重要です。「育児を手伝いたいけれど何をしたら良いのかわからない」という人も多いかもしれません。

妻は「言われなくてもわかるでしょ」と思うのではなく、やってほしいと思うことを細かく伝えるのもポイントです。そういった意味でも夫婦間のコミュニケーションは不可欠です。

しっかり話し合い、家事育児の分担をすることで妻の負担を減らすことができ、精神的にも少し余裕ができるでしょう。

そして、お互いに「いつもありがとう」と感謝の気持ちを言葉にして伝えるのも大切です。夫は妻の話をたくさん聞いてあげてください。

「大変だったね。よく頑張ってるね」と共感し、ねぎらいの言葉をかけてあげることで、妻の心も安らぎ夫婦円満へとつながりますよ。

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