産後ケアコラム
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2022/01/15

[コラム]

産褥期とはどういう期間?産褥期にママが気をつけたい食事や栄養素について

出産後に必ずやってくる『産褥期(さんじょくき)』。妊娠するまで聞きなれない言葉でもあり、どういう期間なのか実際のところよくわからないという人もいるかもしれません。

しかし、この産褥期の過ごし方を間違えてしまうと、母体に大きく影響を与える可能性があります。

そこで今回は、産褥期とはどういう期間なのか、また過ごし方や食事について気をつけるべきことなどを解説します!

産褥期の期間とは

産褥期とはいつからいつまでの期間のことを指しているのでしょうか。まずは期間とどんな時期かについて確認していきましょう。

産後6~8週間

産褥期とは一般的に産後6~8週間(産後一か月半~2か月)程度のことを指しています。体が妊娠する前の状態に戻ろうとする大事な期間です。

産褥期は出産方法や状況などによって多少個人差がありますが、初産婦よりも経産婦の方が回復が早い傾向にあると言われています。その理由のひとつに子宮の収縮が関係しています。

産褥期には子宮が妊娠前の大きさに戻ろうとしますが、経産婦の方が戻り方がスムーズとされているからです。しかし、その分痛みを強く感じる人もおり、母体に急激な変化が生じていることには変わりありません。

初産婦、経産婦に限らず産後は安静にしてゆっくり体を休めることが大切です。

体・ホルモンバランスの変化

産褥期は子宮が小さくなるだけでなく、体や心に大きく変化が起こります。体の変化と心の変化について、それぞれお伝えします。

体の変化
子宮の収縮に伴い起こる症状のひとつに『悪露(おろ)』があります。悪露とは、産後の子宮内にある分泌物や胎盤などを血液と一緒に体外へ排出することです。

悪露は出産当日から出始め、産後3日あたりまでは真っ赤で量も多いのが特徴です。個人差がありますが、出産後4~6週間で終わる人もいれば、約2か月続く人もいます。

続いて、産後に起こる体の変化と言えば『母乳の分泌』です。母乳は産後すぐに十分な量が出るわけではなく、産後2~3日で少しずつ分泌されていきます。

個人差がありますが規則的な授乳により、産後10日ほどで安定した母乳が出るようになると言われています。

他にも、出産による骨盤の歪みや、むくみ、貧血や便秘、尿漏れなどの症状が現れることもあります。このように、産褥期に体が元に戻るために起こる変化は、母体に掛かる負担も相当大きいものといえるでしょう。

心の変化
産後は気持ちが落ち込んだり、涙もろくなったりと心が不安定になる傾向があります。このような軽度の抑うつ症状が『マタニティブルー』と呼ばれるものです。

マタニティブルーは産後3日~5日に症状が現れやすく、産後約2週間すれば落ち着いてくると言われています。しかし、それ以降も症状が続く場合には『産後うつ』の疑いがあるといえるでしょう。

マタニティブルーや産後うつを引き起こす主な原因は、急激なホルモンバランスの変化です。妊娠中は女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが大量に分泌されます。

しかし、出産後はそれらの分泌が減少し、ほぼゼロになるのです。その急激なホルモンバランスの変化によって自律神経の働きにも影響が起こり、メンタルを不安定な状態にさせると考えられています。

イライラしたり、漠然とした不安を抱えたりすることに加え、忘れっぽくなったり集中力がなくなったりすることも症状のひとつです。

また、出産による環境の変化やストレス、産後の疲労や慣れない育児による心身の疲れなども、心が不安定になる要因といえるでしょう。

産褥期に無理するとどうなる?

「退院して家に戻ったら、自分が家事をやらないと……」なんて思っていませんか。あるいは、「妊娠中よりも身軽になったから自由に動ける!」というような思い込みは大変危険です。

出産は『交通事故で全治一か月の怪我を被ったほどのダメージ』と例えられるくらい、大きな影響を受けています。想像以上に母体はボロボロな状態と考えても良いのです。

産褥期に無理をしてしまうと、後々の体調にも響いてきます。では、具体的にどのような影響が出るのかを知っておきましょう。

回復が遅れる

産褥期に無理して動くと、回復が遅れる可能性があります。

なぜなら、産後は出産によって大きく開いた骨盤を元に戻そうとする力が働くのですが、まだ骨盤が歪んでいる状態で動いてしまうことで、骨盤はなかなか正常な位置に戻ることができないのです。

その結果、腰痛を引き起こしたり、肩こりやむくみが起こったりと、さまざまな症状につながってしまいます。

また、子宮も元に戻ろうと収縮している最中ですので、無理を重ねることで腹部の痛みや産褥熱などの症状が出る場合もあります。

しかも、ただでさえ赤ちゃんのお世話で生活リズムが変化し、寝不足が続いて体調を崩しやすい状況です。無理をすると回復が遅れ、体調不良が長引いてしまうので注意しましょう。

更年期障害への影響も?

産後に無理をしてしまうと、回復が遅くなるだけでなく、後々の体調にも影響が出てくると言われています。

例えば、よく耳にするのが更年期障害になりやすかったり、症状が重くなったりするという話です。

こちらは今のところ医学的根拠はないとされていますが、骨盤の歪みや骨盤底筋のゆるみによって更年期にあたる時期に婦人科系のトラブルに悩まされる可能性もあると言われています。

そうならないためにも、骨盤の戻りをスムーズにするよう安静に過ごすことが大切です。

また、骨盤ベルトなどでしっかりと骨盤ケアを行うことで、後々のトラブルを軽減することにつながるでしょう。

産褥期に気をつけておきたい食事

体を回復させるためには安静に過ごすだけでなく、栄養バランスの摂れた食事が不可欠です。

また、母乳の分泌にも関係しているので、赤ちゃんの栄養のためにも摂るべき栄養素はしっかり抑えておきたいところです。

加えて、避けた方が良い食べ物や飲み物についても解説していきます。

産褥期に摂るべき栄養素

『たんぱく質、葉酸、ビタミンC、鉄分、カルシウム』この5つは産後に意識して摂るべき栄養素です。

たんぱく質
肉や魚、豆類などのたんぱく質は筋肉作りにも欠かせない栄養素です。毎日必ず摂ることを心掛けてください。肉を食べる時はなるべく脂肪の少ないものを選ぶとより良いでしょう。

葉酸
葉酸はビタミンB群の一種でビタミンB12と協力して血液をつくる作用があります。

母乳は血液からつくられているため、出産で多くの血液を失っている産後には、積極的に摂取したい栄養素のひとつです。

また、細胞分裂を促進させ子宮の回復を手助けする効果もあると言われています。葉酸が含まれる食品はほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜全般、納豆、レバーなどがあります。

鉄分
葉酸と同じ様に鉄分にも血液をつくる働きがあります。出産で大量の血液を使い貧血気味の状態から母乳を作り出すには、鉄分を摂ることが必要不可欠です。

鉄分の含まれているレバーやしじみ、卵やひじき、プルーンなどを意識して食べるようにしましょう。

ビタミンC
ビタミンCには鉄の吸収を促進させたり、免疫力を高めたりする効果があると言われています。また、ビタミンCはストレスに対抗するアドレナリンの生成も担っているため、睡眠不足や疲労、不安を抱えやすい産後には摂るべき栄養素といえるでしょう。

ビタミンCが含まれる食品には緑黄色野菜をはじめ、みかん、グレープフルーツなどの柑橘類、いちごなどがあります。

カルシウム
カルシウムは歯や骨の形成を助ける働きをするため、赤ちゃんのためにも摂るべき栄養素のひとつです。

赤ちゃんの歯や骨の形成にはママのカルシウムから使われているため、産後はカルシウム不足になりやすく歯や骨がもろくなりやすいのです。

骨粗しょう症になるリスクもありますので、カルシウムの含まれる牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品や小魚、大豆製品、海藻類などをしっかりと食べるようにしましょう。

避けた方が良い食べ物・飲み物

産後の授乳期には避けた方が良い食べ物や飲み物があります。なぜならママが食べたり飲んだりしたものは基本的に母乳に反映され、赤ちゃんに届くことになるからです。

ここでは避けるべき食べ物や飲み物を確認していきましょう。

避けた方が良い食べ物
油や砂糖が多く含まれる食べ物は避けた方が良いでしょう。

例えば生クリームたっぷりのケーキやスナック菓子、揚げパンや菓子パンなどは注意が必要です。これらは砂糖や油が多いため、血液がドロドロになり母乳を詰まらせてしまう可能性があるからです。

食べ過ぎると乳腺が詰まり、乳腺炎になることもあるため、気をつけましょう。

また、カップ麺などのインスタント食品には塩分や脂質が多く含まれていることがあるため、おすすめできません。

なるべく食べないようにするか、成分表示を確認し塩分の控えめなものを選びましょう。

避けた方が良い飲み物
妊娠中に引き続き、アルコールやカフェインの入った飲み物は避けるようにしましょう。なぜなら赤ちゃんの脳の発達や発育に大きな影響を与えるからです。

アルコールを摂取すると母体に入ったアルコール濃度と同じ濃度で赤ちゃんに届いてしまいます。

赤ちゃんは肝臓の働きが未熟なため、アルコールを分解することができません。そのためアルコールが体の中に残ってしまい、脳や発達に影響を与えてしまうのです。

最悪の場合、アルコール中毒の症状が出てしまうこともあるので、お酒は控えるのがベストです。どうしても飲みたい場合には、飲んでから授乳まで2時間以上開けましょう。

量もビールなら350ml1本、ワインならグラス1杯までとされています。飲み過ぎてしまう人は、ノンアルコールをうまく活用するのがおすすめですよ。

加えて、カフェインに関しては1日2~3杯までなら問題ないと言われています。しかし、飲み過ぎてカフェインを摂り過ぎてしまうと赤ちゃんの寝つきが悪くなる場合があります。

また、興奮状態になることもあるため、くれぐれも飲み過ぎには注意しましょう。

産後はとにかく安静に!無理せず体を休めよう

産褥期に無理をしてしまうと回復が長引くだけでなく、更年期の時期にまで影響する可能性があることがわかりました。

産後はとにかく安静にすることを優先において、赤ちゃんのお世話意外は何もしないのが理想です。とは言え、いろいろと家のことが気になってしまう人もいることでしょう。

掃除や洗濯、食事作りなども自分が動かないとなると誰かに頼るしかないですよね。この時期は意識して「何もしない」と割り切るのも大切です。

最近では産後のサポート事業も充実しているため、思い切って産後ケア施設を利用してみるのも良いでしょう。体の回復を早める一番良い手段かもしれません。

ぜひ、大事な産褥期を穏やかな気持ちでゆっくりと過ごせる環境を選択してみてはいかがでしょうか。

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